ロマンスにあけくれる
「前にも言った通り、都裄くんはタイプじゃないからなあ。それでもわたしを付き合わせたかったら、都裄くんがわたしのタイプになってみせてよ」
これくらいの上から目線は、蝶よ花よと勝手に崇め奉っている高嶺の花の特権だと思ってもらおう。
しあげにニコリと悪気なんて一ミリも浮かんでなさそうな笑顔をたたえれば、高飛車で強かな女の子の出来上がり。
これで、きっぱりさっぱりわたしのことなんて諦められ─────、
「……じゃあ、花穂さんのタイプって、どんな男なんですか」
「……え?」
だから、こんな風に返されるなんて、予想外も予想外で、返事をするのに一拍遅れた。
「え、……っと、んー、……………、あれ、特にないや」
「もうどうしろと……」
またもや据わった目で見下ろされた。
いや、これは全面的にわたしが悪いから仕方がない。
「あ、改めて考えてみると、全然思い浮かばなくって……」