ロマンスにあけくれる
膝に手をついて荒く息をつくわたしを、クリップボードを抱えている都裄くんは半目で見下ろしている。
仮にも昨日告白まがいのことを言った相手にする態度なのかな?これって。
「……デ、傘は?」
「走るのに邪魔だから、家近いし持ってこなかった……」
「制服透けたらどーすんの」
「その時は体操服に着替えればいっかなって」
本当に小雨だったから、これはいけるなって思っちゃったんだよ……。
事実、あんまり濡れてないし。この分だと、着替えなくても大丈夫そう。
「……じゃあ、さっさと検査終わらせるからこっち来て」
「あ、はい」
水滴がついたスカートを軽くはたいて、下駄箱の隅の方へと移動する。幸い、他の風紀委員の人はすでに教室に戻っているらしい。
「爪オッケイ、ピアス……もない、髪の毛も、大丈夫、……っと。はい、確認終わり」
「ごめんね、わたしのせいで最後まで残らせちゃって……」
「そう思うなら、次からは早く来てよ」
「本当にすみませんでした……」