ロマンスにあけくれる



教室へと急ぎながら、階段にて都裄くんより一段下から顔を見上げると、ふいっとどこか気まずそうに顔を逸らされた。

どうやら図星らしい。



「そんなにわたしの好きな人になりたいの?」

「……はあ。語弊があるようなので訂正しますが、僕は単に花穂さんに僕のことを好きになってもらいたいだけだから」

「…………な、るほど?」

「それ絶対わかってないなるほどでしょ……」



イマイチ違いがわからないけれど、なんとなくわかるようなわからないような気もしないでもないんだよなあ。



「………う〜、……ん、」

「……ナニ」

「いやあ、今の言い方だと、好意を向けてもらえることで承認欲求が満たされるタイプの人に聞こえるんだけど、都裄くんはどうしてもそういうタイプの人には思えなくて……」



どこか見当違いな解釈をしている気がしてならない。そんな違和感のようなものが、都裄くんと話しているとよく生まれる。


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