ロマンスにあけくれる
「……花穂さん、」
「ん?なに?」
ふと頭上から降ってきた声に顔を上げると、なぜかジト目でわたしを見下ろしている都裄くんがいた。
「………よく性格悪いって言われない?それか素直すぎるって」
「え、それ初めて言われた」
「まじか……」
がっくりと肩を落とす都裄くんに小首を傾げながら、早く行こうと先を急かす。
「……その感じだと、花穂さん友達いないでしょ」
「え?逆にそんな人を都裄くんは見たことあるの?」
「…………ないけど」
もはや開き直りと言っても過言ではないような言い方に、都裄くんはちょっとタジタジになっていた。
だって、わたしに友達と呼べる人がいないのはほとんど周知の事実だ。それなのにわざわざ聞いてくる方が性格悪いと思う。うん。
「逆に聞くけど、都裄くんは友達いるの?」
「………まあ、ひとりくらいなら?」
「……………チッ」
「えいま舌打ちした?え?」
「昨日のお返し」
「お返しにしては迫力ある舌打ち……」