ロマンスにあけくれる
「うん。それはもちろん。都裄くんの噂がすごくて」
「……花穂さんにも噂とか届くんですね」
「もしかしてわたしディスられてる?」
「そうです」
「そうなんだ〜」
なんともまあ緩い会話を続けながら、都裄くんはというと未だにがさごそ机の中を漁っている。何してるんだろう。
「もしかして、根も葉もないやつだったりする?」
「それはないですね」
はるほど。じゃあ─────
「ほんとだったんだ。〝地味なくせに、男子から人気を博している女子と付き合ったことある〟っていう噂」
それも、先輩やら後輩やら同級生やら。はたまた先生と付き合ってたなんてものもあったっけ。
後者は正直真偽のほどはわからないけど、その他はその付き合った女の子たちが自ら言っていたそうだから、信憑性はある。それに、今目の前で都裄くんが肯定したし。
「……ああ、だから僕に注目してるんですか。超優良物件のくせして、彼氏がいまだできたことがないから」
「わたし、何か都裄くんの気に触るようなこと言った?すごいディスってくるね」