ロマンスにあけくれる
彼との交流は、2年に上がった今も皆無と言っていいくらいだと思うんだけど。
それとも、この短時間の間で私が何か言ったか。
……心当たりが、あるようなないような。
「別にそういうわけではないです。ただ、花穂さんが喋ってるのを見たのは初めてだったので」
「え、わたしそこまで普段無口かな?」
「無口というより、話しているところを見る機会が少ないので。そーゆーイメージがあって」
「へえ、そうなんだ。……っていうか、それ、わたしのことディスってるのと何か関係があるのかな?」
「微塵もないですね」
「ないのかあ〜」
これまたごゆるりとした返答を返せば、今度は手を止めて長い前髪の隙間から、怪訝そうな視線を送られた。
自分で聞いてきたくせに、返し方が緩すぎないか?とでも言いたげな顔だ。
「……まあ、ディスってるのは単に僕の口と性格の悪さが滲み出ているだけなのでお気になさらず」
「それを先に言った方がいいと思う」