旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「美咲さん。おいで?」

 その言葉に従い、聡一のそばに寄ると、聡一は自分の股の間を叩いてそこに座れと示してきた。これはイチャイチャのお誘いだろう。

 美咲はローテーブルの上に漫画を置くと、ここ数日ですっかり慣れたそのポジションへと収まった。美咲は聡一に対して横を向くようにして座り、聡一に寄りかかっている。そのまま聡一が抱きしめてくれると美咲は思っていたのだが、聡一は一度きゅっと抱きしめると、すぐに美咲の体を九十度回転させた。美咲は聡一に背を向けるような格好になっている。その状態で聡一は美咲の肩とお腹の位置に腕を回すと、美咲の体を聡一のほうへそっと引き寄せた。

(えっ、これバックハグ!? すごい。背中が全部覆われてる。ていうか、腕がヤバい! お腹に聡一さんの腕が!)

 後ろ向きで抱きしめられたのは初めてで、美咲は一人興奮してしまった。念願のバックハグはとんでもない密着度だ。背中全面が聡一の体とくっついている。しかもほとんど触れられたことのないお腹に聡一の腕が触れていて、くすぐったいような気持ちいいような不思議な感覚が襲ってくる。あらゆるところから聡一の感触を感じられるこの状況に美咲は思わず聡一に礼を述べていた。

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