旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「何一人で身もだえてんの?」
「だって……ねぇ、私やっぱりおかしくない? 欲求不満すぎない?」
「いや、むしろかわいいほうじゃない?」
「そう? でも、相手はあの聡一さんだよ? あんな高尚な人をそういう対象にしていいのかな?」
「いや、自分の旦那でしょう。いいに決まってるから」
「未だに聡一さんにそういう欲があるように思えないんだよね……」

 どうしても聡一とそれとが結びつかないのだ。二人の関係が進んだ今でもそこだけはまだしっくりとこない。

「まだそれ言う? イチャイチャしてるんでしょう?」
「うん……でも、愛玩動物的な域はまだ出てないと思うんだよね。こう色っぽくはないっていうか」
「あー、まあ、言いたいことはわからんでもないけど。私は心配ないと思うよ」
「うん。ありがとう、千佳」
「もうさ、今日のイチャイチャタイムでチューしちゃえばいいじゃん」
「だからいきなりは難しいんだって。そもそも今日は帰り遅いかもだし、イチャイチャタイムはないかもしれない」

 聡一は今日会社の飲み会に行っている。美咲はそれを事前に伝えられていたから、今日こうして千佳と会っているわけだ。飲み会から帰ったあとは疲れているだろうし、今日は触れ合いなく寝てしまうかもしれないなと思っていた。

「あー、飲み会なんだよね?」
「そうだよ」
「もうそんな淋しそうな顔しないの。また腕枕でもしてもらえばいいでしょ?」
「うん、そうしてもらおうかな……うー、なんか会いたくなってきた」
「毎日顔合わせてるのに、そんな会いたくなる?」
「だって好きなんだもん」
「……美咲、あんたかわいいわ。その気持ちのまま今日も旦那に甘えといでよ」
「うん……」
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