旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
第二章 デートがしたい
美咲は自宅に帰ると早速上映中の映画作品を物色した。普段なら迷わずに恋愛映画を選ぶのだが、聡一とそれを一緒に観ると思うと変に意識してしまいそうな気がする。アクションやミステリーという選択肢もあったが、なんとなく聡一と観るなら、優しい気持ちになれるものがいいなと美咲は思った。だから、美咲は動物と人間との絆を描いた感動ものの作品を選んだのだった。
その晩、美咲は夕食を終えてから、彼にどうその話を切り出そうかとずっとそわそわしていた。何しろ初めてのデートに誘うのだ。緊張せずにはいられなかった。
「美咲さん。どうされましたか? 何か言いたいことがおありなのではないですか?」
「え!? えっと……」
挙動不審だったのだろうか。聡一に鋭く言い当てられて、美咲はひどく慌ててしまった。
「ふふっ、どうぞ遠慮なく。何でも仰ってください」
やはり聡一はこんなときでもその慈愛に満ちた表情を崩さない。彼のその柔らかな表情に背中を押されて、美咲はとうとうその誘い文句を口にした。
「……あの、聡一さん。一緒に映画を観に行きませんか?」
「映画、ですか?」
「はい。実は観たい映画があって、一緒にどうかなと」
聡一が断らないことはわかっている。それでも美咲は緊張で鼓動を跳ね上がらせた。
「それはお誘いありがとうございます。とても嬉しいです。ですが、私と一緒でよろしいのですか? ご友人と行かれたほうが楽しくはありませんか?」
その返答は予想していなかった。むしろあなたがいいんです! と叫びたかったが、さすがにそれは恥ずかしくて言えない。無難に返事しようと思ったら、何ともつまらぬ言葉がまろび出た。
「はい、大丈夫です」
(いや、大丈夫って何様だよ……)
もっといい言い方があっただろうと美咲は自分で自分を責め立てた。これなら素直に聡一と行きたいと言ったほうが百倍マシだ。自分の発した言葉に美咲が頭を抱える一方、聡一はにこにことした笑顔のまま、「ぜひご一緒させてください」と美咲のお願いを受け入れてくれた。彼はどこまでも慈悲深い。
その晩、美咲は夕食を終えてから、彼にどうその話を切り出そうかとずっとそわそわしていた。何しろ初めてのデートに誘うのだ。緊張せずにはいられなかった。
「美咲さん。どうされましたか? 何か言いたいことがおありなのではないですか?」
「え!? えっと……」
挙動不審だったのだろうか。聡一に鋭く言い当てられて、美咲はひどく慌ててしまった。
「ふふっ、どうぞ遠慮なく。何でも仰ってください」
やはり聡一はこんなときでもその慈愛に満ちた表情を崩さない。彼のその柔らかな表情に背中を押されて、美咲はとうとうその誘い文句を口にした。
「……あの、聡一さん。一緒に映画を観に行きませんか?」
「映画、ですか?」
「はい。実は観たい映画があって、一緒にどうかなと」
聡一が断らないことはわかっている。それでも美咲は緊張で鼓動を跳ね上がらせた。
「それはお誘いありがとうございます。とても嬉しいです。ですが、私と一緒でよろしいのですか? ご友人と行かれたほうが楽しくはありませんか?」
その返答は予想していなかった。むしろあなたがいいんです! と叫びたかったが、さすがにそれは恥ずかしくて言えない。無難に返事しようと思ったら、何ともつまらぬ言葉がまろび出た。
「はい、大丈夫です」
(いや、大丈夫って何様だよ……)
もっといい言い方があっただろうと美咲は自分で自分を責め立てた。これなら素直に聡一と行きたいと言ったほうが百倍マシだ。自分の発した言葉に美咲が頭を抱える一方、聡一はにこにことした笑顔のまま、「ぜひご一緒させてください」と美咲のお願いを受け入れてくれた。彼はどこまでも慈悲深い。