旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
そして、その日の夜、美咲は意を決して聡一に声をかけた。
「聡一さん」
「はい」
「あの……」
一度失敗している分、もう一度言葉にするのがなかなかに難しい。何度か深呼吸していると、聡一がまた察してくれたのか、そっと手を差し伸べてきた。
「ふふ、手を繋ぎましょうか」
聡一は真正面に立って両手を差し出している。二人の間にはある程度の距離が保たれていて、やはりまだ美咲が怖がっていると思われているのがわかる。この誤解を解かなければならない。美咲はもう一度心の中で決意し、自分でも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でその言葉を発した。
「……ない」
「ん?」
小さすぎて聡一には届かなかったらしい。でも、聞き返してくれた聡一の声が優しくて、ちょっとだけ勇気が湧いてくる。だから、美咲はしっかりと聡一の目を見ながら、ゆっくりとその言葉を口にした。
「……こわく……ない」
聡一が目を見開いて驚いている。でも、すぐにいつもの優しい表情に変えて、昨日と同じように両手を広げてくれた。
「……はい、そうですね。美咲さん、おいで?」
美咲はまたゆっくりと近づく。そうしてあと一歩のところまで来たとき、聡一がその距離を詰めてきた。背中にそっと腕を回される。そのまま優しく引き寄せられ、美咲は初めての抱擁を受けた。
(何これ、すごい……こんなに気持ちいいんだ)
聡一の体の硬さだとか、ぬくもりだとか、匂いだとか、そんなものが伝わってきて、かつてないほどに心臓がドクドクと脈打っている。でも、彼に包まれる安心感はそのドキドキを上回るくらい心地いい。ずっとずっと包まれていたくなる。これは千佳が好きなのも頷ける。美咲ももうこれの虜になりそうだ。
「聡一さん」
「はい」
「あの……」
一度失敗している分、もう一度言葉にするのがなかなかに難しい。何度か深呼吸していると、聡一がまた察してくれたのか、そっと手を差し伸べてきた。
「ふふ、手を繋ぎましょうか」
聡一は真正面に立って両手を差し出している。二人の間にはある程度の距離が保たれていて、やはりまだ美咲が怖がっていると思われているのがわかる。この誤解を解かなければならない。美咲はもう一度心の中で決意し、自分でも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でその言葉を発した。
「……ない」
「ん?」
小さすぎて聡一には届かなかったらしい。でも、聞き返してくれた聡一の声が優しくて、ちょっとだけ勇気が湧いてくる。だから、美咲はしっかりと聡一の目を見ながら、ゆっくりとその言葉を口にした。
「……こわく……ない」
聡一が目を見開いて驚いている。でも、すぐにいつもの優しい表情に変えて、昨日と同じように両手を広げてくれた。
「……はい、そうですね。美咲さん、おいで?」
美咲はまたゆっくりと近づく。そうしてあと一歩のところまで来たとき、聡一がその距離を詰めてきた。背中にそっと腕を回される。そのまま優しく引き寄せられ、美咲は初めての抱擁を受けた。
(何これ、すごい……こんなに気持ちいいんだ)
聡一の体の硬さだとか、ぬくもりだとか、匂いだとか、そんなものが伝わってきて、かつてないほどに心臓がドクドクと脈打っている。でも、彼に包まれる安心感はそのドキドキを上回るくらい心地いい。ずっとずっと包まれていたくなる。これは千佳が好きなのも頷ける。美咲ももうこれの虜になりそうだ。