旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「もうこんな時間ですね。美咲さんのお話がとても面白かったので、あっという間に時間が経ってしまいました」
「すみません、私ばかりお話してしまって」
「いえ。あなたのお話が聞けてとても嬉しかったですよ。ありがとうございます。あまり遅くなってもいけませんから、今日はこれで終わりにしましょうか」
「……はい」

 最初はあれだけ緊張していたはずなのに、別れ際は淋しい気持ちでいっぱいだった。もっともっと聡一と話をしたかった。自分の話だけではなくて、彼の話ももっと聞きたかった。最初はお見合いなんてとまったく期待なんてしていなかったはずなのに、今はこの見合いに縋りつきたくてたまらない自分がいた。
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