旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「……じゃあ、これからもしてくれますか?」
「はい、もちろん。では、私からのお願いも聞いてくれますか?」
「はい?」
「こうしてたくさんあなたに触れても構いませんか? あなたのことをもっと愛でたい」

 聡一は優しく美咲の髪や頬や背中を撫でてくる。そんなふうに触れていいかと聞いているのだろう。そんなもの美咲からお願いしたいくらいだ。

「はい……お願いします」
「ありがとうございます。ふふっ、あなたといると喜びがとどまる所を知りませんね。はあ、あなたがかわいすぎて、心臓が止まってしまいそうです」

 また聡一はとんでもない台詞を吐いているが、美咲はもう何も言わずに受け入れていた。美咲は聡一の甘さに浮かされて、心も体も完全に彼に寄りかかっている。そうして気づけば彼の腕の中でぐっすりと眠りこけてしまったのだが、目が覚めたあとも彼のぬくもりはまだすぐそばにあって、それが夢ではなく現実の出来事なのだと美咲に教えてくれた。そして、聡一も変わらずずっと甘いままだったから、美咲はこのときから自然と聡一に甘える癖がついていった。


 二人はまだキスすらしていないというのに、美咲のイチャイチャライフは変にハイレベルな段階へと突入してしまったのだった。
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