敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
カレンダーは十二月に入り、忙しい日々は続いていた。新年度に合わせた計画が多く、先頭に立って働く要さんの負担は大きい。自分で背負い込んでいるようにも見えたが、多少自分自身に負荷をかけた方がいい結果が出ると本人が言い張るので、私には見守ることしかできない。
ただ、彼の好きなコーヒーを用意したり、食事の世話を焼くくらいだ。
麻里佳さんともずっと会えていないようだった。
一度、麻里佳さんに食事の差し入れでもお願いしようかと提案したことがある。要さんも婚約者からの差し入れの方が嬉しいだろうし、麻里佳さんだって会いに来るチャンスになる。すると要さんは「俺と麻里佳はそういう関係じゃないんだよ」と苦笑いした。
考えてもみれば要さんからしたら、婚約者に疲れ切っている姿や余裕のない様子を見られたくないだろう。いつだって、完璧な岩切要を見せているのだ。私は「差し出たことを言いました」と謝った。
その日は、十二月も半ばの寒い日だった。
要さんは日本橋の料亭で会食だった。介護ケア支援政策の件で、関連する議員との食事会だ。今日は岩切製紙が接待する側で、要さんのお父さんである岩切社長も同席し、なごやかな会食だった。私は隣の部屋で、社長秘書の渋井さんと待っていた。同じ秘書課の先輩社員だ。
ただ、彼の好きなコーヒーを用意したり、食事の世話を焼くくらいだ。
麻里佳さんともずっと会えていないようだった。
一度、麻里佳さんに食事の差し入れでもお願いしようかと提案したことがある。要さんも婚約者からの差し入れの方が嬉しいだろうし、麻里佳さんだって会いに来るチャンスになる。すると要さんは「俺と麻里佳はそういう関係じゃないんだよ」と苦笑いした。
考えてもみれば要さんからしたら、婚約者に疲れ切っている姿や余裕のない様子を見られたくないだろう。いつだって、完璧な岩切要を見せているのだ。私は「差し出たことを言いました」と謝った。
その日は、十二月も半ばの寒い日だった。
要さんは日本橋の料亭で会食だった。介護ケア支援政策の件で、関連する議員との食事会だ。今日は岩切製紙が接待する側で、要さんのお父さんである岩切社長も同席し、なごやかな会食だった。私は隣の部屋で、社長秘書の渋井さんと待っていた。同じ秘書課の先輩社員だ。