敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
泣き止まなくて途方にくれたり、寝たら起こしたくなくて家事が滞ったりというのはほぼ毎日。
さらに子どもの体調の見極めがむずかしく、病院に連れていくタイミングがわからないのだ。
もしかしてこの症状は急いで診察してもらった方がいいんじゃないか。そんなふうに深夜に思い立っても、相談できる相手はいない。

いや、世間にもワンオペで育児をしているママやシングルマザーはたくさんいる。
弱音を吐くまいと三ヶ月やってきた。
それでも、この先急に大地が体調を崩したとき、怪我をしたとき、他に何か起きたときに自分が対応できるのかと不安になったりもする。
この頼りない命は私を頼って生きているのだ。
それは幸福でありながら、責任重大でもあった。

授乳を終え、けぷっとげっぷをした大地の口回りを拭いた。

「よく飲めたね。げっぷも出たね。大地すごいねえ」
「あう」

抱きしめて大地の薄い髪を撫でる。後頭部の毛は汗でへたっていた。
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