敏腕社長との秘密の身ごもり一夜～身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました～

要さんのマンションで同居を始め、四日が経った。
私はこの部屋で埼玉の町にいた頃のように過ごしている。公園に立ち寄り、買い物をし、大地の世話の合間に家事をする。
ただその家事は自分だけのためではない。要さんの服を洗い、要さんに食事を作る。

要さんは多忙の身だが、なるべく家に帰ろうとしてくれているようだ。ありがたい。そして、要さんとすんなり夫婦になっていたらこんな生活だったのだろうと考える。
要さんは私と大地がいる生活を心から楽しんでいるように見えた。

一方で大地は環境の変化が理由なのか、夜に頻繁に起きるようになっていた。もとから寝付きの悪い子だけれど、夜中に三十分置きに起きて授乳。時間をかけて寝かしつけるとまたすぐに起きるというのが毎日になっていた。先月より明らかに眠りが浅い。

「寝室を変えたい？」

五日目の晩、眠る前に私は提案した。

「大地が何度も起きると、要さんも睡眠不足でつらいでしょう。私たちはリビングで寝起きします」

大地が目覚めるたびに、要さんも起きてくれていたのだ。母乳をあげるしかないので、彼は少し見守ってまた眠っていた。それでも、睡眠時間は削られているはずである。