敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
「そこで彼らは言ってきた。都子は最初から愛人で、秘書という名目で近くに置いていたに違いない。麻里佳は俺の浮気に悩んで他の男に走ったのだ、と」
「そんな、なんて勝手な主張なんですか」
「ああ、さすがに俺も呆れたよ。聞いていたうちの両親も馬鹿馬鹿しいと怒っていた。高垣は通常の入社試験をクリアして入ってきた優秀な社員で、愛人などではないって」

要さんの言葉で私はハッとした。

「岩切会長と奥様は、大地のことを知ったんですね」
「……ああ、おまえには不本意だろうが、猪川夫妻が調べ上げて暴露してくれたよ」
「驚かせてしまいましたね。まずは、要さんのご両親に謝罪にあがらなければ」

私の言葉に要さんが目を丸くした。私の反応が想像と違ったようだ。

「てっきり、大地を奪われるからうちの両親には知られたくなかったかと」
「それは別のお話です。いきなり、孫の存在が明らかになったらショックに決まっています。もし、ご両親が要さんに新たな縁談を考えていたとしたら、隠し子なんていない方がいいに決まっていますから」

会長夫妻には、私が勝手に産んだ子であることを謝罪しなければならない。きっと、思惑と外れた事態だろう。
もし、会長夫妻が私と要さんの結婚は許さない、大地だけほしいと言ったときは、あらためて話し合えばいい。
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