敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
要さんは言い、ご両親に頭を下げた。私も頭を下げた。

「迷惑をかけて申し訳なく思っています」

顔をあげると会長が気づかわしげな表情で私を見ていた。

「まずは、可愛い孫を産んでくれてありがとう。ひとりで育てるつもりだったなら、名乗り出るのは嫌だっただろう」
「いえ、私のせいでこんなことになったのですから」
「きみが退職の話をしたとき、知らなかったとはいえ無神経なことを言ったね。きみと要は想い合っていたのに」

麻里佳さんの妊娠の件は、会長から聞いたのだ。要さんの子だと思い込んだ私は、彼から離れなければという思いを強くしたのだった。

「父さん、母さん、俺は都子さえ許してくれたら、結婚したいと思っている」

要さんは包み隠さず言葉にする。

「もし、都子が結婚という形を取りたくないと言うなら、その意志も尊重したい。そのときは、大地は認知し養育にかかる金銭はすべて俺が負担して大人にしてやりたいと思っている」
「そのあたりは話し合っている最中なのね」

奥様が頷き、それから付け足した。

「夫婦の問題はふたりにしかわからないから、私もお父さんも口出ししません。ねえ、お父さん」

会長が頷き、それからちょっとだけ寂しそうに大地の顔を覗き込む。
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