敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
「都子が心配するような事態にはしないから、安心しろ」

要さんが横で言いきった。彼はいつでも正しい判断をする。それを信じたい。

「さあ、それじゃあお茶にしましょう。豆大福はお好き?」

奥様に尋ねられ「好きです」と答える。奥様がおずおずと言った。

「豆大福を持ってくる前に、ちょっとだけ大地くんを抱っこしてもいいかしら」
「もちろんです!」

立ち上がり、奥様の腕に大地を運んだ。

「ああ、懐かしい。要にもこんな頃があったわぁ」
「母さんずるいぞ。私も抱っこしたい」

会長が腰を浮かせる。私が心配していた以上、ご両親は孫の存在を喜んでくれている。もしかしたら思うところもあったのかもしれない。それでも、私と大地に気遣ってくれている。

要さんを育てたご家族はなんて優しい人たちだろう。
要さんの実家で過ごしたひと時はかけがえのない時間だった。大地はずっと機嫌よくにこにこしていたし、会長と奥様はかわるがわる大地を抱っこして嬉しそうにしていた。

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