敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
「正式に家族になりたいと思ってる。おじいちゃんの心配はありがたいよ。迷惑をかけたことも申し訳なく思う。だけど、要さんは信頼に足る人だよ。いつか、……今すぐじゃなくていいから、おじいちゃんにもおばあちゃんにも理解してほしい」

そこにドアが開く音。要さんは玄関の靴を見たのか、急いでリビングに入ってきた。

「おじいさん、遅くなりました。この度は申し訳ありません」

荷物を置くより先に頭を下げる要さんを見て、祖父は少しだけ笑った。

「今、都子から色々聞いたよ。ほとんどのろけだったけれど。今度はあんたの口から言い訳を聞かせてくれ。俺もばあちゃんもふたりの仲を少しでも許せるように」

要さんはちらりと私を見た。私と祖父の話し合いがどう進んだのか考えているようだったが、自分は自分の言葉で説明すべきだとも思ったようだ。
ソファに腰かけ、猪川家とのトラブルや今後の話を時間をかけて説明した。
祖父は何度か頷き、すべて聞き終えると立ち上がった。

「今日、都子と大地を連れ帰るのはやめるよ。そのかわり、一刻も早く解決させろよ。うちの孫と曾孫を不安な気持ちでいさせないでくれ」

私たちが見送る中、祖父は自身の運転で埼玉の家まで帰って行った。

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