敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
「……それは有りかもしれないな」
要さんが鋭い瞳をする。彼もまた、商談相手に挑むときのような顔だ。
「俺からしたら名乗り出ない蔵多部長は保身に走っているとしか思えない。それが麻里佳の望みでも、彼が優先すべきは麻里佳と娘のほのかのはず」
要さんは立ち上がり、私の腕の中の大地を撫でた。
「よし、これから行ってくる。まだ会社にいるなら、捕まえられる」
「はい。いってらっしゃいませ、要さん」
「ありがとう、都子。さすが元秘書だ」
要さんはそう言って微笑み、急いで出かけていった。
おせっかいかもしれないが、私だって麻里佳さんに幸せになってほしい。ここで自分の立場可愛さに麻里佳さんとほのかちゃんを見殺しにするなら、そんな人は麻里佳さんの恋人であってほしくない。
二時間ほど経っただろうか。大地は眠くなりぐずり始め、私はずっと立ってあやしていた。要さんから連絡はまだない。
すると、インターホンが鳴った。玄関に来客だ。要さんなら自分で入ってくる。
モニターに映し出されたのは知らない男女だ。いや、見たことがある。
確か、猪川家のパーティーで……。
「猪川社長夫妻?」
心臓が嫌な感じでどくどくと鳴る。私と要さんに慰謝料を請求してきた人たちがなぜここにいるのだろう。
居留守を使おうかと思ったが、何も悪いことをしていないのに逃げるのは嫌だった。
要さんが鋭い瞳をする。彼もまた、商談相手に挑むときのような顔だ。
「俺からしたら名乗り出ない蔵多部長は保身に走っているとしか思えない。それが麻里佳の望みでも、彼が優先すべきは麻里佳と娘のほのかのはず」
要さんは立ち上がり、私の腕の中の大地を撫でた。
「よし、これから行ってくる。まだ会社にいるなら、捕まえられる」
「はい。いってらっしゃいませ、要さん」
「ありがとう、都子。さすが元秘書だ」
要さんはそう言って微笑み、急いで出かけていった。
おせっかいかもしれないが、私だって麻里佳さんに幸せになってほしい。ここで自分の立場可愛さに麻里佳さんとほのかちゃんを見殺しにするなら、そんな人は麻里佳さんの恋人であってほしくない。
二時間ほど経っただろうか。大地は眠くなりぐずり始め、私はずっと立ってあやしていた。要さんから連絡はまだない。
すると、インターホンが鳴った。玄関に来客だ。要さんなら自分で入ってくる。
モニターに映し出されたのは知らない男女だ。いや、見たことがある。
確か、猪川家のパーティーで……。
「猪川社長夫妻?」
心臓が嫌な感じでどくどくと鳴る。私と要さんに慰謝料を請求してきた人たちがなぜここにいるのだろう。
居留守を使おうかと思ったが、何も悪いことをしていないのに逃げるのは嫌だった。