敏腕社長との秘密の身ごもり一夜～身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました～

「うるさい小娘だ。あんたもその赤ん坊も、この先のうのうと暮らしていけるとは思わないことだな」

脅しともとれる言葉だったが、私は負けなかった。きつく彼らを睨み、言った。

「なんと言われようが、あなたたちの荒唐無稽な主張を認めはしません」

そのとき、玄関のドアが開いた。

複数の足音が響いたと思うと、リビングに飛び込んできたのは要さんだ。
そして麻里佳さんがほのかちゃんを抱いている。最後に線の細い男性が入ってきた。眼鏡をかけて、ダークスーツ姿だ。

「お父さん、お母さん！　何をしにきたの？」

麻里佳さんが叫び、要さんはすぐに私の隣にやってきてかばうように肩を抱いてくれた。

「麻里佳、家から出るなと言っただろう。それに蔵多、おまえはなんだ」

蔵多と呼ばれた男性は、やはりほのかちゃんの父親だ。彼はがばっとその場に土下座した。

「猪川社長、奥様、ほのかちゃんの父親は私です。もう何年も麻里佳さんと交際をしていました」
「貴様…だったのか……！　よくも！」

猪川社長が立ち上がり、蔵多さんを見下ろす。ぶるぶると怒りに震える拳が見え、まずいと思ったときには蔵多さんに飛びかかっていた。