シュガートリック




「花染さんだって……」

「あと一人誰だろ……」


席に戻りながら周りから聞こえてくる声に、もうなにも聞きたくない。

……どうしよう。
もう一人の人が誰になっても私、目見て話せないかも。


席に着いて、頭の中で会議を開く。
周りの声なんて聞こえず、もうここは自分の世界だ。


こういうの向いてないのに……私に出来るのかな。


お願い、もう一人は優しい人来て……っ!


そう願った瞬間。

急に教室の中が、ザワっと騒がしくなってハッと顔を上げる。
特に女の子の悲鳴だ。


な、なに……?と思っていると。


「じゃあ、日野くんで決定ね」


……へ?

ま、まって……今、日野くんって言った……?
私の知ってる日野くんは……日野春哉くんだけだけど?

ピクピクと顔がひきつるのがわかる。
嘘だよね?と思いながら中心にいる人物を見ると。




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