シュガートリック
何も考えたくなくなってくる。
なるべく、喋らないようにしよう。
ボロが出たら、男慣れしてないことバレちゃうから。
席に戻ろうとしている日野くんを見ながら、はぁとため息をついた瞬間。
「……っ」
その一瞬だけ私の方を見てきて。
タイミング悪く目が合ってしまって、パッと逸らす。
バクバクとなる心臓を必死に落ち着ける。
私を見た日野くんの目が冷たく感じた。
……私、本当に無理かも。
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ということがあったのだ。
「まさか、あの日野春哉と一緒に体育祭実行委員になるとはね」
「そうだよ……しかも明日から放課後集まりがあるんだよ……」
流歌ちゃんに泣きつく。
ああもう本当にどうすればいいの。
「日野春哉ねぇ……多分あいつ雪音のこと嫌いだろうね」
「そうだよね、絶対そう。もう自覚ありだよそんなの」