シュガートリック




ビクビクとしながら座る。

……無言が一番怖いってば……。


「……ごめん」

「……へ?」


どうしようか……と考えているその時。
日野くんがその沈黙を破って謝ってきた。

な、なんで……?


「……俺の勘違いで傷つけたから、ごめん」

「……え、え?」

「……」

「……あ…っ、えっと、大丈夫……です」


ポカンとしてしまい、慌てて返事をする。

謝ってくれた……?しかも、さっきより声が怖くない。

パッと顔を上げて日野くんを見ると、本当に申し訳なさそうな顔をして謝ってきていた。


「……大丈夫じゃないだろ、あんなこと言われて」

「いや……でも、あれは私がオドオドしていたから……」

「……ねぇ、花染って男苦手なの?」

「……ぅっ」


日野くんの言葉に慌てて否定する。
日野くんは一緒にやろうとしてくれてたのに、私が勝手にオドオドしたから悪いんだよ……っ。




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