シュガートリック
……なんでそんな怖い顔しているの?
と思ったけど、ちらりと教室の中を除くと、女の子達の視線が春哉くんに集まっていて。
これが原因か……と苦笑いする。
「…おはよう、花染」
「…あ、おはよう春哉くん」
多分、女の子達の視線に耐えきれなくて廊下に出ようとしたんだろうな……。
私を見て少し表情が緩んだ春哉くんは、ため息をつきながら私に挨拶をしてきて。
それに笑って返すと、そのまま教室を出ていってしまった。
教室に入り、自分の席に向かう。
「……花染さんと春哉くん、普通に話してない?」
「さすが花染さんだわ……春哉くんにどんなテクニック使ったんだろうね」
「ずるいなあ……私も話したいのに」
そんな会話が聞こえて、上がっていた気分が下がってしまう。
……私、何もしてないんだけどな。
テクニックとかよくわからないし、いつも通り接しただけだ。