シュガートリック

後ろから声がしたかと思えば、腕をグイッと掴まれて識くんから離れさせられる。


「！……どういうつもり、春哉」


識くんの視線が、私から離れてその人物を見ると戸惑ったような表情でそう言った。

春哉くん……？

どうやら私の手を掴み引き寄せているのは春哉くんみたいだ。


「……お前、女遊びもいい加減にしろ」

「……！春哉くん……！？」


低く冷たい声を発した春哉くんは、私の腕を引っ張り急に走り始めた。

驚いて春哉くんにされるがままに着いて行くも、ハッとして後ろを見ると。
私と同じように驚いて放心状態になっている識くんがいて。

何が起こってるの……！？

そう思いながら春哉くんについて行くしかなかった。



そこから少し離れた場所に連れてこられて、ハァハァと呼吸を落ち着かせる。

……つ、疲れた……っ。


「…っあ、ごめん俺、つい……」