シュガートリック
はぁー、と大きくため息をついた春哉くんに、困ったように微笑む。
「……でもね、識くんのこと悪く思わないでほしい」
「…は、」
「さっきみたいに識くんのこと悪く言われたら、私だって傷つく」
「……でも事実」
「そうかもね。でも私が知ってる識くんは、そういう人じゃない」
さっき春哉くんが言った識くんは、確かに間違ってないかもしれないけど。
それでも、自分の事のように胸が痛くなった。
それぐらい私にとって識くんは大きな存在になってきている。
傍から見たら女にだらしないって思われても仕方ない。
ましてや女嫌いの春哉くんから見たら余計そう思うだろう。
……でも、きっとなにか理由があるんだろうな。
私には想像できないぐらいの……大きな理由が。
そう考えると、少し困ったような笑みがこぼれる。
目の前にいる春哉くんは、意味がわからないとでも言うような顔をした。