シュガートリック




……お互い呼び捨てだし、相手のことを知っているかのような口ぶりで話すから……。


「……識から聞いてない?」

「うん……なにも」

「……」


聞いているのかと思ってた、とでも言うような顔で私を見る春哉くん。


「……小学校と中学校一緒だった」

「え……そうなの?」

「……ああ」


どこか遠いところを見て話す春哉くんに驚く。

小中同じだったんだ……だからお互いのこと知っていたのね。

春哉くんの顔は、どこか懐かしんでいるような表情。


「仲良かったんだ、昔は」

「え……じゃあ、なんで……」


春哉くんからの予想外の言葉に驚いてしまう。
仲良かったの……?じゃあなんで今は嫌いなの……?

そう疑問に思った私に、あまり感情のない瞳で春哉くんは微笑んだ。


「変わったんだよ、識が」

「変わる……?」

「あんな奴じゃなかったんだけどな」



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