シュガートリック




どういう意味で言ってるの……っ。


その識くんの表情と声色に、かああっと顔に熱が集中して蒸発しそう。
言葉にならない声が詰まってギューッと苦しい。

さっきの、春哉くんに対してのドキドキとはまた違う。

なんで……識くんといるとこんなにも心臓がうるさいの。


「……なにその顔、可愛い」

「え、え……?」

「誘ってんの……?無理、俺今自分を抑えられないから」

「な、なにを……っ?え……?」


私の表情を見て、ため息をつき自分の顔を覆った識くんに首を傾げる。
なんか、今日の識くん情緒が……っ。


「……こんな可愛い雪音を知ってんの、俺だけだと思ってたのに」

「……っ」

「よりによって春哉かよ……」

「……あ」


悔しそうな表情でそう言った識くんに、あれ……?と思う。

今の、どこかで……あっ。

頭に浮かんだその光景に、思わずふっと笑みがこぼれた。


「ふ……っ」

「……雪音?」

「今の、春哉くんも言ってたよ」




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