シュガートリック
……っ、こんな綺麗な顔に、傷が残ったら大変……っ!!
左頬が赤く腫れているのを見て少し焦る。
「えっと……これ、湿布ももらってきたので、使ってください……っ」
正確にはもらってきたんじゃなくて、盗ってきたんだけど……。
まあどっちでもいいや、と思って氷と湿布を渡すと、呆然としながらも受け取ってくれて。
「…ありがとう」
その言葉を聞いて、少し嬉しくなる。
……できることは全部したし……私は帰ろうかな。
この男の人も、これ以上私がここにいることを嫌がるかもしれない。
さっき目を見てしまったからか、この人の目を見ることの抵抗は前よりもなく。
ペコっとお辞儀をして、その場を後にしようとすると。
「……っ、へ?」
グイッと腕を引っ張られて、窓側まで追いやられると。
窓に腕を押さえつけられて、目の前に男の人が立ち私を見下ろしてくる。
……っ、な、なに……っ?