シュガートリック
震える声を振り絞って出したのはいいものの、内心では諦めかけていた。
……その時だった。
「こんなとこでなにやってるんですかー?先生呼びますよー」
そんな声が、保健室のドアの方からして私も相手もピタッと動きを止める。
ポロッと涙が零れ落ちる。
男の人の声だ。
私の声が聞こえたのかもしれない。
それに安心して身体の力が抜ける。
私に覆い被さっている男の人は、顔を歪めて私から離れると。
舌打ちをして走って出て行ってしまった。
「はいはい行った行ったー」
聞こえてくるのは、鼻で笑うような声と、走る足音。
助けてくれた人が、男の先輩に向かって言った言葉だろう。
……助かっ、た?
そう思ってハッとする。
身体は辛いし、まだ震えが止まらない。
だけど、その人にお礼がしたくて急いでベッドから降りて個室から出ると。