シュガートリック




「……識くん?」

「…え、あ、ああ……」

「……どうかしたの……?もしかして風邪移しちゃった?」


そう聞くと、頭を横に振った識くんに安心する。


「……てことはあの時の子って……」

「……え?」

「……ごめん、少し待って」


困惑したような識くんは、私に待ったのポーズをする。
なに……?どうしたの……?


「……雪音は、今でもその人に会いたいの?」

「…うん、会いたい」

「っ、うわー……ちょっとまって」

「…うん、ずっと待ってるよ?」


待ってって言わなくても……さっきから待ってるよ?と苦笑いをする。


「……」

「……」

「……俺も保健室はあんまりいい印象無いんだけど……」

「…あ、」


そういえば、識くんって保健室だけは頑固として誘われても断るんだっけ。


「その理由が……いや、やっぱなんでもない」

「え……?」

「あー……なんか、後出し感あって嫌だから言わない」

「どういうこと……?気になるよ」




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