シュガートリック
いつもより早く朝起きると、ニコニコと嬉しそうに話しかけてきたお母さん。
「雪音が学校行事張り切るなんて、初めてじゃない?」
「は、張り切ってないよ……っ!」
「でも楽しそうに見えるわよ?」
「……っえ」
ふふっと笑ったお母さんに驚いてしまう。
た、楽しそう……?私が……?
なんで……?と考えた瞬間に浮かんだのは識くんの顔で。
それにかああっと顔が熱くなってしまう。
う、うそ……っ!いつもなら、学校行事なんて楽しめないのに……っ!
誰にも絡まれないように常に気を張り続けるから、楽しみなわけないと思っていた。
実際、今までの行事もそうだった。
でも、識くんと仲良くなったことで……識くんに惹かれ始めたことで、こんなにも人の心って変わるものなの……?
……っ、私、本当にどうしちゃったの……っ。