シュガートリック
今この教室は電気はついていない。でも窓の外が明るいからもしかしたら赤面を見られるかもしれない。
……っ、どうしよう。
どう抜け出そうかと考えていた……その時だった。
「俺の事慰めてよ」
「へ?……っんん…っ!」
目の前には、男の人の綺麗なドアップの瞳。
唇には、今までに感じたことのない温かくて柔らかい感触。
……え?
一瞬にして、距離を詰められて。
何が起きてるのか、何をされているのか、よく分からなかった。
放心状態の私から、すぐに離れたその唇を目で追う。
名前も知らない男の人の表情は、余裕そうでどこか色っぽくて。
……っ、ファースト、キス……っ?
何をされたのか理解した私は、一瞬にしてかああっと顔に熱が溜まった。
身体が熱くて蒸発しそうで、心臓がバクバクと音を立てている。
一気に現実に戻され、奪われたファーストキスの重さを知って。