シュガートリック



「ねー?識〜……」

「……黙れよ」

「…っえ?」


ニコニコしながら女の子が識くんに話しかけた時。
聞いたことないような低い声で、識くんはそう一言呟いた。

それに、見ているこっちもビクッとして固まってしまう。


「……うるさい」

「ちょ、ちょっと…識……?」

「話しかけんな」

「……っ!」


識くんのその言葉に、驚いた女の子たちは後ずさりしながら走ってどっかに行ってしまう。

……識くん、どうしたの……?


「…おい、花染。今はダメだ帰ろう。あの女達は識の地雷を踏んだんだ」

「……っ」

「っ、花染!」


無意識に識くんの元に駆け寄ろうとする私を、必死に止めようとする春哉くん。
でも、そんな声も聞こえず走って識くんのところに行く。

だって、あんな……っ、あんな辛そうな姿……っ。

今にも消えてしまいそうで。




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