シュガートリック
なんて言って、心配そうな目で見てくるから。
……こないだのことだろうな、となんとなく察した。
「うん、大丈夫だよ」
「そうか……ならいい」
「……ありがとう」
春哉くんの気遣いに微笑むと、フイっと顔を逸らして教室を出ていってしまった。
席について荷物を整理する。
…識くん、来てるのかな。
なんて考えながら整理していると。
「ねぇ聞いた?木村さん達のグループ、識くんのこと怒らせたらしいよ」
「え、あの識くんが怒ったの?」
「そうなんだよ、すっごい怖いらしいね」
「識くんが怒るなんて初めて聞いたよ。木村さん達相当やばいことしたの?」
「わかんないけど、地雷踏んだらしい」
周りの女子の声が聞こえてきてピタッと手を止める。
……もう広まってる。嫌だな、こういうの……。