シュガートリック
それを遮るように、少し遠くの方から大きい声がした。
驚いて私も流歌ちゃんもそっちに顔をやると。
「……なに?」
そこには、例の木村さん達と識くんがいた。
遠くからだからうっすらしか見えないけど、絶対そうだ。
それに気づいた私達は何も話さないように息を潜める。
応答した識くんの声はこないだほど低くないものの、いつもの識くんとは少し違った。
まるで、何にも興味がないと言うような声色。
「…っ、あのね、こないだはごめんなさい。うちら本当に盛り上がっちゃって……」
「そ、そうなの。悪気はないよ。まさか識のこと怒らせるとは思わなかったというか……」
「本当にごめんなさい…っ!」
そう言って焦りながらも必死に頭を下げた女の子達。
あの子たちは本当に識くんに嫌われたくないんだ。
「……何に対して謝ってるの?」
「…っえ?」
「……まあいいや。こんなこと言ったところで意味ないし」