シュガートリック




ドアから手が出てきたかと思うと勢いよく中から引っ張られて驚いてしまう。

バランスを崩して倒れそうになると、目の前にいる人に抱きしめられるように支えられた。
その間にパタンとしまったドア。


……っ、これ、前にも同じようなことが起きた気が……っ。

まさかと思って顔を上げると、そこにはやはり識くんがいて。

私を支えたままニコッと笑っていた。


「っ、し、識くん……前と同じようなことしないでよ……っ」

「ごめんごめん、静かなところに来たくてさ」


識くんを見上げながらもそう訴えると、笑いながらそう言った。

あまりの近い距離に離れようとするけど、識くんはそれを許さずに私の手を引いて教室の奥まで歩いた。

隅っこで座った識くんを見て私も座る。


「……どうしたの?」

「……話そうと思って」

「…っ、あ」


真剣な顔をした識くんにピタッと一瞬固まる。
こんなに早く話してくれると思ってなかったから変な緊張が走る。



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