シュガートリック
春哉くんの名前が出てきて顔を上げる。
春哉くんだけは知ってたの……?
「春哉とは元々仲良かったから俺の変化にすぐ気づいたんだよ。だから俺にとって味方は春哉しかいなかった」
「……っじゃあ、なんで今は……」
「……両親が離婚してやっと全部解放された時、もう精神的にも肉体的にもボロボロだった。全部、どうでもよくなったんだよ」
「……っ」
「俺は元々両親に憧れていたのに、憧れてた対象は最低最悪の人間だった。なんで憧れてたかは最初に言ったようにお互いを大事にしていて仲が良かったから。あんな風になりたかった」
そう言いきった後、軽蔑したような笑みを浮かべた識くんは。
「でも、俺わかったんだ。愛なんて存在しないって」
「……っ!」
そう、確信したように言った。
……前に言ってたことだ。これは、そういう意味だったんだ……っ。
「憧れは崩れて、恋も愛もなにもかもいらなくなった」
「……っ」