シュガートリック
「…俺も会いたかったよ、あの時の子と」
「…っ、識、くん……っ」
「まさかこんな近くにいるとはね」
そう言って笑った識くんの言葉に、前識くんと話した内容を思い出す。
『……雪音は、今でもその人に会いたいの?』
『…うん、会いたい』
……っ、ああ、そうか。
一年前から、私のことを守ってくれたんだね。
その事実に、ずっと耐えていた涙がポロッとこぼれ落ちる。
「な、なんで言ってくれなかったの……っ」
「そんな過去関係なしに、雪音に好きになってもらいたかった」
「…っ、ぅ、……っ」
私の涙を笑顔で拭ってくれる識くんに気持ちが抑えられなくなりそうになる。
ああ、私本当に識くんのことが好きだ。
「あり、がとう……っ会いたかった……っ」
「うん俺も」
「……っ好き、好きだよ識くん……っ」
「…っ、反則だよ」
涙を自分で拭いながらそう言うと、識くんは照れたような表情をして笑った。
……夢のような日だ。でも夢じゃなくて現実なんだ。
両想いという言葉が胸に響いて高鳴った。