シュガートリック



この場面がすごく懐かしく思える。

こ、これ……っ、私が初めて春哉くんに言われた言葉じゃない……?
その時と全く同じ状況。

でもひとつ違うことがあって。
あの時の春哉くんとは違って、今の春哉くんは冷たい目などしていなかった。

若干呆れたように笑いながらも私と識くんを交互に見つめて。


「邪魔してねぇよ。お前らが邪魔なんだわ」

「ご、ごめんね春哉くん……っ!通れなかったよね……!」

「……花染は悪くない、識が悪い」

「え、え……?」

「なんでだよ、ちょろすぎだろお前雪音のこと見んな」


春哉くんの言葉に困惑する。
すると、ため息をつきながら言った識くんは私の目に手を当てて春哉くんの姿が見えないようにしてきて。

あ、あれ……?これじゃあ何も見えないよ……?




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