シュガートリック
「嫉妬丸出しかよ。わかりやすいな」
「…お前がライバルとか一番嫌だわ」
「俺諦めてないよ。隙ができたら奪う」
「隙なんてないから諦めろ」
私の視野が閉ざされている中、二人の言い争う声が聞こえてくる。
でもその声は尖ったものではなくて、二人の仲が改善されたことを示していた。
すると、パッと私の目から手を離した識くんは私の手を握ってきて。
「行こ雪音」
「え…っ?う、うん……」
困惑した状態の私を引っ張って歩き出した識くん。
それに頷きながら春哉くんを見ると、呆れたように笑ってその場を離れていて。
識くんと繋ぐ手を見つめながら識くんの横を歩いた。
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私がいつも流歌ちゃんと食べている場所にきて二人で座る。
……あれ、識くん購買のパンなんだ……。
自分のお弁当を取り出して横を見ると、識くんは袋からパンを取っていて。