シュガートリック




「嫉妬丸出しかよ。わかりやすいな」

「…お前がライバルとか一番嫌だわ」

「俺諦めてないよ。隙ができたら奪う」

「隙なんてないから諦めろ」


私の視野が閉ざされている中、二人の言い争う声が聞こえてくる。
でもその声は尖ったものではなくて、二人の仲が改善されたことを示していた。

すると、パッと私の目から手を離した識くんは私の手を握ってきて。


「行こ雪音」

「え…っ?う、うん……」


困惑した状態の私を引っ張って歩き出した識くん。

それに頷きながら春哉くんを見ると、呆れたように笑ってその場を離れていて。

識くんと繋ぐ手を見つめながら識くんの横を歩いた。



────────────────



私がいつも流歌ちゃんと食べている場所にきて二人で座る。

……あれ、識くん購買のパンなんだ……。
自分のお弁当を取り出して横を見ると、識くんは袋からパンを取っていて。



< 256 / 344 >

この作品をシェア

pagetop