シュガートリック
私の真っ赤な顔を見ては意地悪そうに笑った識くんに、ドキドキが止まらない。
息を吸った瞬間、さっきよりも強引にまた唇を奪われて。
「…っふ」
「……」
「…っ、ん」
初めてする、長くて深いキスに息がどんどん苦しくなっていく。
そんな中でも識くんの呼吸は安定していて余裕そうで。
くっついては離れくっついては離れの唇に、呼吸が荒くなる。
目に涙が溜まってきてトントンと識くんを叩くと、唇が離れた。
「…っ、も、むりだよ……っ」
「…もう?」
「むり…っ、ドキドキして、しんじゃうよ……っ」
識くんの目を見つめてそう訴えると、識くんは一瞬だけ動きを止めて固まった。
すると、識くんは長く深い深呼吸をして。
「……本当に無自覚って怖いね」
「…っえ?」
「俺離れられなくなっちゃうよ」
離れられない……?
なにから離れられないのかがよく分からなくて首を傾げる。