シュガートリック
「…はぁー、どんどん雪音にハマってく」
「…っ、え、」
「俺重いんだなあ……初めて知った」
識くんは自分に呆れるように笑ってそう言った。
私を見つめるその瞳は優しくて。
……っ、私も、識くんにハマって抜け出せないよ。
なんて思って、私も自分に呆れて笑った。
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「さようなら、気をつけて帰ってね」
先生のその声を聞いて、みんなが席を立ちザワザワとしだす。
私も自分の荷物を整理して鞄を持ち教室のドアを出ようとすると。
ちょうど春哉くんと同じタイミングで廊下に出ようとしてしまいお互い立ち止まる。
二人して目を合わせたあと、なんだか面白くて笑ってしまった。
「先いいよ、バイバイ春哉くん」
「…ありがと。じゃ」
手を振ってそう言った私に一瞬躊躇いながらも、私よりも先に出て。
それに続いて教室を出ると、一組と二組の教室の間で識くんが私を待っていた。