シュガートリック
最近は識くんに話しかける女の子も減ってきて。
前までならこの時間もいつも識くんは女の子に声をかけられていたのに。
それが何だか不思議で、安心してしまっている自分がいた。
校門を出て家までの道を歩く。
肩と肩がぶつかる距離にいる識くんに、ドキドキしながらも嬉しくて。
無意識に繋ぐ手をギュッと握った。
「…?どうかした?」
「…っあ、ううん。なんか……私今すごく幸せだな、って」
「…!」
私を不思議そうに見つめる識くんに、思っていた気持ちを伝える。
こんな未来、過去の私は想像していなかっただろうな。
すると、識くんは感情の籠った暖かい瞳を私に向けて笑って。
「……俺、雪音のおかげでこの感情を知れたんだよ」
「……?」
「……これが、愛なんだろうな」
嬉しそうに、愛おしそうに私を見つめる識くんになんだかグッときてしまう。