シュガートリック
私の顔色を見るように無言になる識くんに首を傾げる。
どうかしたのかな……?と思っていると、識くんはそんな私を見てため息をついた。
「聞かなくていいから」
「え……?」
「嫌いでしょ、噂。落ち込む必要ないよデタラメなんだから」
「あ……」
もしかして、心配して慰めてくれてるの……?
識くんのその言葉は、魔法みたいで。
下がった気分も全部浄化されていくみたい。
前に言ってた識くんの言葉を思い出した。
『とことん騙してやりなよ』って。
「…ふふっ、うん。ありがとう識くん」
「……うん」
嬉しくて、識くんに向かって微笑むと。
識くんは笑いながら私の鼻をツンっと人差し指で指してきて。
急なことに驚いて識くんを見ると、識くんは急にイタズラっ子のような顔をしていた。
「な、なあに急に……っ!」
「んー?見せつけてるの」
「え……?」
「近くにいる男達が雪音のこと見てるから」