シュガートリック
そう言いながら私の後ろの方をじっと見つめた識くん。
え……?
と思いながら後ろを振り返ろうとすると。
それを阻止するように、識くんは私の肩をグイッと寄せてきた。
「だめだよ見ちゃ」
「え……?」
「雪音は俺の事だけ見てればいいよ」
どこか少し黒い笑みを浮かべた識くんに、わけも分からず頷くと。
満足したように私の頭を撫でて笑った。
「…いい子だね、行こっか」
「う、うん……」
急に甘やかしてくる識くんにドキッとしながらも、識くんの後に続いて校舎に入った。
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「テストなんて返ってこなきゃいいのに」
「……そんなに悪かったの?」
「いや、解答欄ずれた」
「わあ……」
流歌ちゃんと二人、目立たないような隅っこでいつも通り話している。
解答欄ずれたの……可哀想……。
と思い少し同情する。