シュガートリック




識くんの言葉に、なぜか従ってしまい口を開けると。

その瞬間、識くんの舌が入ってきて。

キスなのに、キスじゃないみたい。
私の全然知らないキス。

初めての感覚にピリッとして追いつけない。
驚いて舌を引っ込めると、識くんは慣れたように私の舌に絡めてきた。


「……んぁ……ふっ」


恥ずかしさからどんどん目に涙が溜まってくる。
呼吸が荒くなっていくのに、識くんは全く荒くない。


「…っん、識く……っ」

「…なに?」

「わ、私、もう苦し……っ」


隙を見て一生懸命識くんに話しかけて訴える。

も、もう無理だよ、限界……っ。

すると、識くんは渋々と唇を離した。


乱れた息を整えるように何度も呼吸をする。

目がうるうるしているのがわかる。何故か分からないけど自然にだ。

識くんの瞳を見つめると。


「…うわ、すごいそそる」

「…っ」

「ほんと、かわいい」




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