シュガートリック
私の目を真っ直ぐに見て言った識くんに胸がギュッと苦しくなる。
あの時、甘い嘘の噂を持つ私の前に現れたのは──────初対面でキスしてくるような危ない人だった。
でもその人は、本当は人一倍に寂しさと苦しみを知っている人で。
噂での私じゃなくて、本当の私を知りたいと言ってくれた人で。
……そして、独占欲が強くて危険な溺愛をしてくる、砂糖みたいに甘い人だった。
……ねぇ、識くん。
「…私も、好き……っ」
私に、とびっきりのシュガートリックを教えて。
Fin.