シュガートリック
パチッと目が合い、女は目を見開いて。
嫌な予感がする、と思った直後。
「あ、あの人!」
「は?」
「あの人!私の彼氏なので!」
何を思ったのか女は俺の方を指さして、そう大きい声を出した。
ガラの悪い男二人も、俺も、は?と放心状態。
そんな隙をついて、女は男二人の目の前から抜け出すと、俺の方に駆け寄ってきて。
「なので、諦めてください!いい加減しつこーい!!」
「おい、お前……」
「っ、んだとこの女……!」
俺の近くに来たかと思えば、男たちの方に振り返ってそう叫んで。
さすがにそれはまずい、と思って声をかけたけど。
怒った男二人がこっちに近づいて来てるのが見えて、頭を抱えたくなった。
なんだこの女……!
「えっ、やばい私言いすぎた……!?」
「……」
「ちょっとまって、ほんとに巻き込んでごめんなさい!あとでなんでもするので今だけ助けて!!」